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そよ風通信

第143回 「月見草」 【2015年8月】

夜に花開く月見草は、何とも幻想的ですね。

草むらの月見草の下で、虫の声がジーと聞こえたりすると風情を感じます。

 

小学校くらいの時、真夏の夜にひどい咳の出ることがありました。

どうせ風邪だろうからほっておけば治ると決め込んでいたのですが、咳がだんだんひどくなって息が苦しくなり、夜中に小さな病院に行くことになりました。

母は、苦しいと言って騒ぎ立てる私をなだめながら暗い野の道を歩いて行きました。

 

長い影が伸びている坂道の先に大きな満月が浮かび上がっていることが面白いなあと思っているうちに病院に着きました。

病院に着いたとたんに気持ちが和らぎ、歩いている間はおさまっていた咳がまた出ました。

 

先生は

「苦しそうだねえ」

と言って私の喉を見ていました。その時になってはじめて母親が少し慌てた様子で私の症状を先生に説明しました。

「気管支炎ですね。」

先生がそう言って、診察を終えると不思議と咳は治まりました。

先生からお薬などの説明を受けてから病院を出ると、その瞬間、目の前の野原に黄色い月見草が群れになって咲いているのを見ました。

その花の色のあまりの鮮やかさに私は驚きました。

「あのお花なあに?」

と私が驚いて言ったので母は少し月見草の話をしてくれました。

夜に月を見上げるように咲く花で、朝になるとしぼんでしまうということを教えられると、暗闇にぼんやりと浮かんでいる月見草の鮮やかさがなんだかすごく悲しくて、体の調子が悪いことの不安もあって泣けてきてしまいました。

 

次の日になって少し体が軽くなってから同じ道を通りましたが、月見草の花は小さくしぼんでいて、よく目をこらして見ないとまったく気付かないほどでした。

昨晩の夢のように鮮やかな月見草の姿を思い出すと、小さな子供が苦しんでいると思って普段は見せない秘密の姿を見せてくれたように思えてなりませんでした。

 

 

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