042-971-9800 受付時間 9:00 ~ 18:00(月~金曜) 「笑顔・感動 創造企業」ほっとカンパニー Welpen Pharma

そよ風通信

第150回 「朧月夜」 【2016年3月】

春の歌として有名なものに「朧月夜」があります。

 

少し前に音楽家の葉加瀬太郎さんがこの歌を現代風にアレンジして歌手の中島美嘉さんが歌っている姿が印象的でした。

 

菜の花畠に入り日薄れ
見わたす山の端霞ふかし
春風そよふく空を見れば
夕月かかりてにおい淡し

里わの火影も森の色も
田中の小路をたどる人も
蛙のなくねもかねの音も
さながら霞める朧月夜

 

春の夕暮れを表現したもので、鮮やかな色彩の菜の花畑が夕陽に照らされながら霞んで浮かび上がる情景や、空にぼんやりと現れている月の姿が描かれています。

 

この歌の中では情景だけではなく、田んぼの道を歩く人やそこに響く音も朧げだと表現されています。

 

春は日差しが強くなって花が咲き、生き物が目覚め動き出す活発な季節ですが、この歌の中ではそれもすべて儚げなものとして捉えられているように思います。

 

陽が落ちて霧の中に霞んでいく風景全体がまるで夢の中のもののように感じられるこの詩の中でこの世の存在の繊細さや不安定さを感じさせます。

 

目覚めてはまた眠りにつく命の不思議や、始まっては終わり、変わりゆく季節の空気を作者がしみじみと感じているようにも思います。

 

朧げな月の光は、命たちが終わりを予感しながら目覚める春という季節を象徴しているかのようです。

                                 (C)